みんなの金融リテラシー

金融リテラシー入門:テーマ「住宅購入」ダイジェスト版

全15章からなる「金融リテラシー入門」の講座のうち、「住宅購入」の授業をダイジェスト版でお届けします。

今年は海外旅行がお得になる 円高時のお金の使い方

「円」の価値で考え、為替を活用して賢くお金と付き合う

前回の記事「『分かったフリ』してない? 円高・円安ってこういうこと」では、今さら聞けないけど知っておきたい円高・円安の基本的なポイントを紹介しました。

今回は、この円高・円安の為替によって、海外旅行や日常のショッピングで得をするのか損をするのかについてお話していきましょう。

では、早速問題です。

Q.海外旅行に行くときには、円高ドル安のときと、円安ドル高のときと、どちらがお得だと思いますか?

答えは、円高ドル安です。円の価値が高くなる円高ドル安になると、海外旅行をするときには、お得なことがたくさんあるのです。

例えば、円をドルに交換するときの為替レート(TTS)が1ドル100円としましょう。そのときに、手元にある1万円をドルに換えるとします。すると、1万円÷100円の為替レート=100ドルとなり、1万円は100ドルに変わりました。

でも、昨年の1ドル約125円のときなら、1万円÷125円の為替レート=80ドルにしかなりません。

日本円では同じ1万円なのに、ドルに換えたときの手元に残る金額は、1ドル100円で交換したときのほうが多く、円高ドル安の方が海外で使えるお金は増えるのです。

また、あなたが現地で買いたいバッグが1000ドルだったとしましょう。

1ドル約100円なら、1000ドル×100円=10万円で買えますが、昨年の1ドル約125円なら、1000ドル×125円=12万5000円となるため、2万5000円多く払わないとそのバッグは買えません。

「どちらがお得ですか?」 とお聞きするまでもなく、日本円での支払いが少ないのは、1ドル100円のときですよね。

このように、私たちが海外旅行に行くときは、円の価値が高くなっている「円高ドル安」のときがオトクなのです。

また、円高がオトクになるのは海外旅行だけではありません。わたしたちが運用を考える際に、為替を味方につけることができれば、円とドルの交換だけでお金を増やすことも可能です。

円高・円安でお金が増えたり、減ったり

たとえば、1ドル100円の為替レートのときに、10万円をドルに交換すると、10万円÷100円=1000ドルです。その1000ドルを1ドル125円の円安ドル高になったときに円に交換すると、1000ドル×125円=12万5000円です。つまり、2万5000円の利益になります。

過去最高の円高となった2011年11月の為替レートは、75円78銭。歴史や投資に「もしも」はありませんが、もしもこのときに10万円をドルに交換していて、昨年の1ドル約125円のときに円に交換したとすると、約16万5000円です! 円高のときにドルに交換して、円安になったときに円に戻すだけで、なんと6万円の利益が得られたんですね。

このように、為替のタイミングをうまく使えば利益を出すことができますが、この反対もありえます。

1ドル125円のときに10万円をドルに交換して、1ドル75円のときにどうしてもお金が必要で円に戻したとすると、手元には6万円しか残りません。4万円の損ですね……。

外貨で運用する商品には、外貨建てMMFや外貨預金、外国の債券、外貨建て保険などがあります。為替の動きを予測することは難しいので、外貨で運用をする場合は、毎月コツコツ積み立てる方法で行うとよいでしょう。

賢く生きるには「円」の価値で考えよう

そのほか、円高でオトクなことの中には、長期間円高が続いたときの「円高還元セール」があります。ワインやチーズ、輸入家具などの海外から輸入した商品が安くなる傾向があるのです。

ただし、円高になると、輸出企業の利益が減少したり、日本への海外旅行者が減ったりするなどのデメリットもあります。それによって私たちのボーナスや新入社員の採用人数が減るなどの影響も考えられます。旅行から生活まで、意外と身近な為替ですから、この機会に、円高・円安は、円の「価値」で考えることを押さえておきましょう。

次回は、海外に行くときの海外旅行傷害保険についてお伝えしますので、楽しみにしていてくださいね。

クレジット

文/前野彩

プロフィール

前野彩(まえの・あや)

Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャル・プランナー。中学校・高校の保健室の先生を経て、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経てFPに転身。自らの住宅ローンで800万円、生命保険で1000万円の見直しを行った実績を持つ。「お金の安心と可能性をかたちにし、心の自立と輝く明日をつくる」ことを理念に「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を働く女性や子育て世帯に伝えている。講演やテレビでも活躍中。著書多数。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ —書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)、『家計のプロ直伝!ふるさと納税新活用術』(マキノ出版)、『危うくムダなお金を払うところでした』(産経新聞出版)。