みんなの金融リテラシー

金融リテラシー教育フォーラム2017 in札幌

札幌学院大学で行われた金融リテラシー教育フォーラムの様子を紹介します。

老後のお金、いくら貯めれば? シングルで最低1500万円!?

35年後の日本は人口の半分が高齢者!? “自分年金”を考える!

2015年9月25日

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの高山一恵です。生きていくうえで絶対欠かせないのが、お金。毎日使っている身近なものだけど、意外に知らないことも多いのでは。この連載では、きちんと生活するためにぜひ知っておきたい「お金の超キホン」を、わかりやすくご紹介します。  今回は、多くの人が気になっていて、よく相談を受ける「老後のお金はいくら必要か?」を考えます。

登場人物
桜子:新入社員
潤 :入社3年目
絢香:入社7年目の29歳

桜子:日本は世界でも類を見ないほどの少子高齢化の国だって聞きましたけど、だとすると老後不安になりますね。

絢香:最近は女性の社会進出も進んでいるし、晩婚化の影響もあって女性が子どもを産まなくなっているのよね。  日本が右肩上がりで経済が成長していた時代には、16人の現役世代で1人の高齢者を支えていたらしいんだけど、それが今はたった2.3人の現役世代で1人の高齢者を支えているのらしいの。

潤:ええーっ、現役世代はものすごく少なくなってしまったんですね…。

絢香:まだまだそれが進むのよ。今から35年後の2050年には1.3人の現役世代で1人の高齢者を支えることになり、日本人全体の高齢者の占める割合が45%を超えることになるそうなの。

桜子:じゃあ、35年後の日本は約2人に1人が高齢者ってことになるわけですね。なんかものすごく不安になってきました。

絢香: こういう背景があるから、消費税を増税したり、社会保障費を上げたりしないと国もやっていけないのよ。

桜子:なるほど。ということは、これからますます出費が増えそうってことですよね。お給料はほとんど上がらないし、出ていくものばかりが増えそう。それに私たちの世代は年金もあんまりもらえなさそうだし…。

潤:ほんとだよな。新聞か何かで読んだけど、僕たちが老後を迎える頃には、年金は、今の高齢者がもらっている年金の7掛けくらいって書いてあった。支給年齢も今は65歳だけど、引き上げる案もあるって書いてあったし…。

桜子:えーっ、先のことを考えるとなんだか暗くなりますね。

 まだ全然想像つかないけど、老後は一体いくらいくらいのお金がかかるんでしょうか?

老後はどれくらいお金がかかる?

絢香: 総務省の「家計調査」(2013年)をもとに現在すでにリタイア生活を送っている人の平均的な家計を見てみると、1カ月の生活費は、シングルの人で約14万5000円、夫婦の場合で約24万3000円となっているの。

 現在もらえる公的年金の平均額などと相殺すると、シングルの場合で毎月約3万4000円、夫婦の場合で約5万8000円の“赤字”になっているのよ。

桜子:公的年金って、どのくらいもらえるものなんですか?

絢香: 夫婦で約20万円程度 シングルで約10万円程度ね。これは、報酬月額30万円程度、43年間加入した場合の金額で、報酬月額や加入期間でだいぶ違うけど。

桜子:確かに、月10万円で生活するのは大変そうですね。それじゃあ、赤字分は貯金などから補てんしてるってことですか?

絢香:そういうことになるわね。ちなみに私たちサラリーマンに関係するところでは、年金には国民年金と厚生年金があって、国民年金は、10年以上加入していないともらえないわよ(※)。今日は年金の細かい説明は割愛するけど、老後、年金だけで生活していくのは難しいわね。

(※注)現在は、20歳から60歳の間に25年加入していることが、受給条件。消費税率10%への引上げ時(平成29年4月)に短縮される予定

潤:今、すでにリタイア生活を送っている人でさえ、毎月これだけの金額を貯蓄から取り崩さなければ生活ができていないということか。

絢香: でもこの金額は基本的な衣食住を満たす生活を送るための費用なの。

 生命保険文化センターが行った意識調査によると、夫婦2人で旅行に行ったり、趣味を楽しんだりという、いわゆる“ゆとりあるセカンドライフ”を送るために必要な生活費は平均で毎月36万6000円という結果が出てるわ。さっきの毎月約24万円という金額に10万円をプラスしたぐらい、ということになるわね。

桜子:そうすると、一体どれくらいの金額を貯めておけばいいんですかね?

絢香:今の年金制度を前提にすれば、90歳まで生きると仮定して、年金が支給される65歳から不足分の月額約3万4000円を26年間、貯蓄から取り崩していくには1060万円、夫婦の場合、約5万8000円だとすると1809万円ものお金が足りないということになるわ。

 この金額に医療費や介護費用などを加えると、リタイアするまでにシングルで最低1500万円、夫婦で最低2500万円は貯めておきたいところね。

潤:ひえー! 結構な金額ですね。ゆとりある老後を送ろうと思ったら、ゆとり資金を毎月10万円上乗せすることになるから、上乗せ部分で10万円×12カ月×26年=3120万円。先ほどの基本生活を送るために貯めておきたい約2500万円とあわせると、約5500万円ということですか…。気が遠くなりますね。

絢香:かなり気合を入れて「自分年金」作りに励まないといけないわよね。しかもこの数字は持ち家を前提としたものだから、もし、老後も賃貸に住んだり、住宅ローンを払わなくてはならなくなったりという人はもっと多くの老後資金が必要になるということよ。

image

絢香: そして、老後のお金を考える上で欠かせないのが介護にかかるお金。特に女性は男性に比べて平均寿命が8歳も長いので、結婚していてもしていなくても、最期はおひとりさまになる可能性があるから、介護のお金にについてもしっかりと考えておくことが必要なの。

桜子:確かに、女性の方が長生きですもんね。

絢香: 公的介護保険の要支援・要介護の認定者は年々増えていて、厚生労働省の介護保険事業状況報告(2013年)によれば、全国で約554万人にとなっているそうよ。この数字を見るだけでも介護の費用を準備しておかなくてはならない理由がわかるわよね。

桜子:具体的に介護にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか?

絢香:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査/2012年」によれば、まず要介護状態になった時の初期費用として、平均262万円かかるそう。これは、車いす、介護ベッドの購入などにかかる諸費用の合計。そして、月々の介護費用の自己負担は、平均17.2万円となっているのよ。

潤:公的介護保険でカバーできる部分もあるとはいえ、自己負担をゼロにはできませんもんね。

桜子:もし、このまま独身だったら将来的に重度の介護状態になってしまった場合には、自分では何もできないから、老人ホームに入るという選択をする必要がでてきますよね。

絢香: そうね。老人ホームといってももピンキリで入居一時金が数十万円のところもあれば、数千万円のところもあるのよ。そのほかに毎月の費用として20万~35万円がかかるといわれているの。

桜子:今からコツコツと老後のお金をしっかりと確保しなくちゃなりませんね!

◎Kazue先生の今回のポイント◎

給与明細の図
  • 今後、日本の少子高齢化は加速。35年後の2050年には総人口の半分が高齢者に!
  • 老後資金用に65歳までにシングルの場合で最低1500万円、夫婦で最低2500万円は貯めておこう!
  • 老後のお金を考える上で介護にかかるお金も重要。初期費用として平均で62万円、月々の費用として平均で17.2万円がかかる!



  • プロフィール

    給与明細の図

    ファイナンシャルプランナー
    高山一恵さん

    エフピーウーマン所属ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。2002年にファイナンシャルプランナーの資格を取得したのを機にお金との正しい付き合い方を啓蒙する魅力に目覚める。2005年4月に創業メンバーとして「女性のためのお金の総合クリニック」株式会社エフピーウーマンの設立に参画。現在、同社のメイン講師として全国で講演活動を行い、人生に不可欠なお金の知識を伝えている。雑誌や新聞での連載をはじめ、テレビ・ラジオにも出演するなど精力的に活動し、明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書に『35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん』(アスペクト)など。エフピーウーマンHP、オフィシャルブログ「お金を人生の味方につけるお金の教養レッスン」、「お金の教養が身につく マネーセミナー」(受講料無料)。