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金融リテラシー入門:テーマ「住宅購入」ダイジェスト版

全15章からなる「金融リテラシー入門」の講座のうち、「住宅購入」の授業をダイジェスト版でお届けします。

おトクなお金の使い方はどっち? 「持ち家vs賃貸」人生の選択編

「持ち家」は本当におトク? 大きな買い物の前にしっかり考えたい

こんにちは。ファイナンシャル・プランナー 花輪陽子です。

「いまの職場で働き続けるかどうか」「どんな保険に入ればよいか」「結婚は本当にすべきか」など、オンナの人生には様々な選択肢があり、選び方次第で金銭的な損得も出てきてしまいます。今回は「持ち家vs賃貸」どっちがお得なのかをお伝えしたいと思います。

「一生家賃を払い続けるのはもったいないから、一刻も早く持ち家を手に入れたい」「老後の住まいが心配だからマイホームが欲しい」—こんな声をよく聞きます。

確かに、家賃を払い続けていても何も残らないので住宅を買ってしまいたいという気持ちもよく分かります。しかし、単純に家賃はもったいないという発想でマイホームを買ってしまうのは考えものです。

「持ち家vs賃貸」は様々な角度からメリット・デメリットが挙げられ、自分のタイプに合わせてどちらが本当におトクなのかをじっくりと考えていかなければなりません。

「持ち家vs賃貸」のメリット・デメリットを比較

例えば、賃貸のメリットとしては身軽でライフスタイルの変化に対応しやすいということが挙げられます。この先、40年、50年の長い人生の間で、転勤、結婚などのイベントや天災や日本の社会問題(超高齢化社会)などが起きるリスクがあります。持ち家の場合、こうしたリスクから自分だけでなく、マイホームも守っていく必要が出てきます。宝物だと思っていたマイホームが重荷になってしまう可能性もあるのです。

また、相続の際にマイホームを持っていない「家なき子」だからできる節税もあります。持ち家のない相続人が「小規模宅地等の特例」を使い、亡くなった親などの住んでいた家の土地を相続すると、土地の評価額を8割も下げることができるのです。配偶者と同居親族のうち法定相続人がいない場合に限り、離れて暮らす家なき子が相続をしても特例が認められます。将来的に実家を相続する予定があるといった人は賃貸でいくのも実はメリットが大きいのです。

反対に持ち家のメリットとしては資産になる、社会的なステータスになる、賃貸住宅よりもグレードの高い物件に住むことができるなどが挙げられます。兄弟が多くて実家を相続できないという人などはいざとなった時の自分の住まいを確保しておくと安心かもしれません。

自分で数字化して冷静に判断を

メリットとデメリットを比較検討した上で、数字で冷静に判断してみましょう。賃貸を借りる場合は少しでも家賃を抑えたいですし、購入の場合も可能な限りマイホーム取得費用を抑えたいものです。購入の場合は自己資金が多くあると、住宅ローンの金利を優遇してもらえる場合もあり、自己資金が全くない時と比べると金利負担が少なくなります。

また、購入の場合は将来的に賃貸に出したり、売却をしたりすることも視野に入れておきましょう。都心の一等地、駅近などロケーションがよいと価値が落ちにくいです。反対に郊外で駅から遠いなどの場合、賃貸や売却に出すことが難しい場合もあります。現在は人口減少社会なのに関わらず、新築マンションがどんどん建っています。将来的にも価値が落ちないマンションをしっかり選んでいかないと、売り手や借主がつかないということになりかねません。

いかがでしょうか。お金持ちに近づくコツとしては、メリット・デメリットを比較検討する、数字で計算をするなど、感情を抑えて冷静に判断をするくせをつけることです。「持ち家vs賃貸」以外にも人生の選択に悩んだ際に、どちらが金銭的に有利になるのかをこの方法で考えることができます。

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花輪陽子 

プロフィール

花輪陽子(はなわ ようこ)

1978年三重県生まれ。ファイナンシャルプランナー(FP)。元外資系の投資銀行勤務。OL時代にはまったショッピングによりカードローンの残高は最大200万円に。失業も経験する。お金にコンプレックスがあり、勉強してFPになる。現在は雑誌・新聞・テレビ・ラジオ出演や全国講演などを精力的に行っている。著書に『お金持ちになる女はどっち?』(PHP)、『貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』(小学館)など。/Twitter:@yokohanawa/公式サイト:yokohanawa.com