節約のコツは「順番づけ」! 食費を削ってもダメ?!
お金のやりくり上手になるための“家計簿”のポイント
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの高山一恵です。生きていくうえで絶対欠かせないのが、お金。毎日使っている身近なものだけど、意外に知らないことも多いのでは。この連載では、きちんと生活するためにぜひ知っておきたい「お金の超キホン」を、わかりやすくご紹介します。今回のテーマは「お金の管理と節約のコツ」。節約というと、食費をはじめとしてこまごました出費を見直すことから…と思うのですが、コツは意外なところにありました!
10個の項目に分けて、支出を把握する!
桜子:新入社員
潤 :入社3年目
絢香:入社7年目の29歳
桜子:彩香先輩、相談があるのですが、お金の管理ってどうやってやればいいですか? ちゃんとやった方がいいと思うんですが、面倒だし…。いいコツはないですか?
絢香:そうよね。私も新入社員の頃は戸惑ったな。日々、何気なくお金を使っているけれど、何にお金を使ったのか記録しないと把握できないし、毎月の予算も組めないわよ。
家計管理で大切なのは、まず、「収入」と「支出」を把握すること。収入については、前回、<「給与明細」の本当の見方、知ってる?>でお伝えしたよね。そして、家計管理では、支出の管理はすごく大切なの。
桜子:やっぱり、家計簿をつけることが必要ですか? 苦手なんだよなー。
潤:僕も苦手だったけど、絢香先輩から簡単な方法を教えてもらったんだよ。先輩、桜子ちゃんにも教えてあげてくださいよ。
絢香:いいわよ。まず、買い物や食事のたびに受け取るレシートは捨てないでね。交通費とか自動販売機などでの買い物などレシートがでないものは金額をメモしておいて。専用の小さなメモ帳を準備しておくと便利よ。
そして、家に、ポケットがついたクリアファイルを準備して、ポケットにシールを貼って項目ごとに分けるの。1日の終わりにレシートを取り出して該当する項目にレシートを放り込むだけよ。
項目は、大雑把に分けて。「住居費」「食費」「交際費・レジャー費」「水道光熱費・通信費」「教育費・自己投資」「衣服・理美容費」「保険料」「日用品」「車関連費(持っていれば)」「その他」の10項目で十分よ。クレジットカードをよく使う場合には、クレジットカードの明細を入れる項目を作ってもいいわよ。

潤:それに、自分が日常よくいくお店やそこで買い物するものがあれば、それについては項目の設定をした方がいいんですよね。
例えば、コンビニやドラッグストアでのちょこちょこ買い。僕はコーヒーが好きでコーヒーショップやコンビニでつい、買ってしまってたんだけど、「コーヒー費」って項目を設定して、レシートを入れていったら1カ月ですごい金額になってたんだ(笑)。あれは衝撃だったなあ…。
桜子:私も毎日コンビニに寄ってお菓子買ってるわー。すごい金額になっていそう~。
絢香:1回の金額が数百円単位のちょっとした買い物だと、油断してつい買いすぎてしまうことがあるの。ちょこちょこ買いにご用心よ!
ただ、基本的には細かく分けずに項目ごとにレシートを貯めていき、月末に集計してみて。小さなお金を、大きな視野で把握するためのものなので、今月は食費が5万円かかった、水道光熱費が3万円かかった、というようなざっくりとした数字を把握すれば大丈夫よ。あまり神経質にやると続かなくなるから。
潤:先輩に教えてもらってこの方法を続けてたら、自分の使ったお金の流れが大きく把握できるようになりましたよ。「今月は食費が多かったな」「交際費・レジャー費がだいぶ少なくなった」というように、どんな出費がそれまでと比較して多いのか、少ないのかが見えてきました。それで増えた項目のレシートを見ながら振り返って、無駄遣いしていそうな部分、節約できそうな部分を探すようになりましたよ。
桜子:潤先輩、すごいじゃないですか! 尊敬!私もさっそく、と思ったけど、うっかり忘れてしまうこともありそう…。もっと簡単にやってみる方法もありますか?
潤:そのくらい、がんばれよぉー!お金管理したかったら、これ以上ラクしてできる方法なんてないぞ。
絢香:うーん、そうね。だったら、デビットカードを使って、何に使ったか、明細を見えるかしておくといいわよ。口座に入っている金額分しか買い物できないから、必要以上に使わずにすむし。
桜子:それは便利ですね。それなら「うっかり忘れた」がなくなりますね。
絢香:お金の“出ていく先”をつかんだら、ちょっと次のこともやってみて。支出を振り返る時に、必要だった支出には○、どちらでもよかった支出には△、無駄だと思ったものには×印をつけるの。×の項目について減らせないかを考え、実践してみるといいわよ。
潤:なるほど~! 今度からやってみます。
桜子:×印のものを減らしていけば、すごく節約できそう。あとは、やっぱり見直すべきは食費とか、でしょうか?
節約には順番がある!? 固定費にメスをいれる!
絢香:×の項目について減らしていくのも大事だけど、節約するときに気をつけてほしいのが、やみくもに節約しないこと。優先順位をつけて節約することが大切なの。
桜子:節約に順番があるんですか?
絢香:そう、食費や光熱費の無駄を減らすのももちろん大切なんだけど、頑張る割には節約効果が小さいところなの。なので、まずやるべきは固定費の節約なのよ。
潤:固定費って、家賃とか保険料とか毎月かかる金額が決まっているものですよね。
絢香:その通り! 固定費は、収入の増減に関係なく、毎月、もしくは毎年、一定額かかってくる支出のことよ。固定費は1度見直してしまえば、その後は何もなくても節約効果が得られるところがメリットよ。
何よりうれしいのがまとまった金額を減らせるところ。例えば、月々の保険料を5000円下げ、携帯電話の料金プランを3000円安くできれば、それだけで毎月8000円の節約、年間では9万6000円の節約にもなるのよ。
桜子:50円安い食材を探すのに労力を費やすよりよっぽど効果ありますね。私、固定費の削減の方が取り組みやすいかも!
絢香:固定費の削減を検討するために、毎月変わらない支出がどれくらいあるか、まずは洗い出してみるといいわよ。そんなに件数は多くないので、通帳やクレジットカードの明細を見れば、すぐにリストアップできると思うわよ。
潤:うーん、家賃が高めなので、引っ越そうかな。もし、家賃を3万円減らせたら年間で36万円の節約ですよね。引越しに50万円かかったとしても約1年半で帳消しになるしなー。他にも固定費削減できないか、洗い出してみます!
固定費:毎月もしくは毎年、一定額かかる支出のこと。
例:家賃、住宅ローン、自動車関連費、習い事や塾代、生命保険料、国民年金・社会保険料、NHK受信料、新聞の購読料、インエターネット接続料、携帯電話料金、クレジットカードの年会費
絢香:ぜひやってみて! そしてもうひとつ、思わぬ落とし穴があるの…。
次ページ 出ていくお金を分析する際の“落とし穴”…臨時支出...
絢香:こうやって支出を分析して無駄を削減することができると、それぞれの項目ごとの予算がわかるでしょ。上手な家計管理は予算を組んでいるかどうかなのよ。
桜子:確かに、予算を組んで予算内で生活できれば毎月の家計が赤字ってことはないですもんね。
絢香:そういうことね。予算を組むときに気をつけたいのが「臨時支出」なの。
潤:臨時支出、これがクセ者なんですよね!(笑)。去年は友達の結婚式が多くて、御祝儀代が嵩んで結構大変でしたよ。毎月特に無駄遣いしているつもりはなかったのに、全然家計に余裕がなくて貯蓄を取り崩してました…。
絢香:そうなのよ。毎月家計を黒字にしたいと思っても、どうしても赤字になってしまう月ってあると思うけど、その主な原因が「臨時支出」なのよ。
冠婚葬祭費用、実家への帰省費用、賃貸住宅の更新費用などは、まとまった金額が必要なのにもかかわらず、いくら必要なのか把握できていない場合がほとんど。結婚式に出席したり、帰省したりするたびに10万円単位でお金を使っていては、毎月食費や水道光熱費を一生懸命管理してもあっという間に収支のバランスは崩れて赤字に転落よ。
桜子:ひゃー、耳が痛いです~。友達に結婚式に呼ばれたらドレスとかはりきって買っちゃいそうでした(笑)。
絢香:臨時支出は家計のブラックホールっていわれていて、ここで家計管理がちゃんとできなくなってしまうケースが多いの。
潤:臨時支出も予想して、年間でどれくらいかかるか書き出してみるといい、ってことですね。
絢香:そう、その通り! 臨時支出こそ予算化が大事なの。予算立てには、家計簿や預金通帳やクレジットカードの利用明細書、1年前の手帳やカレンダーなどが参考になるわよ。
桜子:年間で金額を出して12で割って毎月予算化しておくのもいいですね。
絢香:2人とも家計管理のポイントがつかめてきたみたいね!
◎Kazue先生の今回のポイント◎

プロフィール

ファイナンシャルプランナー
高山一恵さん
エフピーウーマン所属ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。2002年にファイナンシャルプランナーの資格を取得したのを機にお金との正しい付き合い方を啓蒙する魅力に目覚める。2005年4月に創業メンバーとして「女性のためのお金の総合クリニック」株式会社エフピーウーマンの設立に参画。現在、同社のメイン講師として全国で講演活動を行い、人生に不可欠なお金の知識を伝えている。雑誌や新聞での連載をはじめ、テレビ・ラジオにも出演するなど精力的に活動し、明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書に『35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん』(アスペクト)など。エフピーウーマンHP、オフィシャルブログ「お金を人生の味方につけるお金の教養レッスン」、「お金の教養が身につく マネーセミナー」(受講料無料)。
『この記事は、日経ウーマンオンライン(http://wol.nikkeibp.co.jp/)に 2015年5月20日に掲載されたものです。無断複製・転載を禁じます。(C)日経BP社』