電子マネーにデビットカード…意外と知らない!今おトクな使い方のコツ
買い物に現金は不要に!? 、カードの賢い使い分け方~キャッシュレス時代の賢いカード活用術!
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの高山一恵です。生きていくうえで絶対欠かせないのが、お金。毎日使っている身近なものだけど、意外に知らないことも多いのでは。この連載では、きちんと生活するためにぜひ知っておきたい「お金の超キホン」を、わかりやすくご紹介します。 今回のテーマは、前回(「おトクなクレジットカードの選び方、とにかくこの3点をチェック!」)に引き続き、「カード」です。前回はクレジットカードについてお伝えしましたが、今回は、種類も増えているプリペイドカード、そして、まだ意外と知られていないけど実は便利でオススメのデビットカードの上手な活用法をご紹介します。キャッシュレス時代、賢くカードを利用しましょう!
登場人物
桜子:新入社員
潤 :入社3年目
絢香:入社7年目の29歳
桜子:カードって、ホントに便利ですよね。この間も、買い物しようとして、あ、現金がない! ってことがあったんですが、クレジットカードが使えてひと安心。
絢香:使いすぎには要注意、だけどね。
潤:ホントに。翌月の引き落とし金額を見てビックリ、ってこと、何度もあったからなあ。
絢香:そうならない、便利なカードがあるわよ。デビットカード、知ってる?
桜子:え、何ですか? クレジットカードとは違うんですか?
絢香:これは、「即時払い」のカードなの。支払いの際にこのカードを使うと自分の預金口座からすぐに代金が引き落とされるの。なので、後から明細の金額を見てビックリ、ということはないわ。使えるのは、預金口座にある金額までで、カードによっては1日や1カ月単位で利用限度額の設定もできるようになっているから、つい使いすぎるという人にはピッタリね。
潤:それは確かに安心ですね。
絢香:使った分の記録が残るから、後で確認するのもラクだし。
桜子:自分でレシートを見て家計簿つけるのは、なかなかできなくて。全部デビットカードで払えば、自動的に全部記録できるってことですか。
絢香:そうよ。便利よね。
潤:でも、どこのお店でも使えるものなんですか?
絢香:すべてのお店、とは言えないけど、クレジットカードが使えるところはたいてい使えるわよ。分割払いはできないけどね。
桜子:現金を使うのと変わらない感じですね。
潤:クレジットカードはポイントがたまるのも魅力のひとつだけど、デビットカードって現金みたいなものだから、ポイントはつかないんですよね? あ、その前に、年会費はかかるんですか。
絢香: カードによるわね。無料のカードも多いし、年会費がかかる場合はいろいろな特典があったりするし。自分に合うのはどれか、比べてみるといいわね。クレジットカードと同じように、ポイントがついたり自動的にキャッシュバックがついたりするカードもあるから、現金を使うよりちょっとおトクだと思うわよ。
桜子:それは、いいですね! “便利な現金のようなもの”にちょっとした特典がついてくる、ってことですか。
絢香:そうとも言えるわね。日本ではまだ使っている人は多くないけど、海外じゃすごく普及しているようよ。
潤:そっか。使い勝手はクレジットカードのようなものだから、使える範囲が広いんですね。じゃあ、海外旅行の時も使えるってことですね。両替の手間もかからないし、現金を持ち歩かなくて済むのは、防犯面からも安心だな。
デビットカード
クレジットカードのように使えて、即時決済されるカード。分割払いやリボルビング払いはできない。通常の買い物はもちろん、ネットショッピングもできる。また、海外でも買い物やお金の引き出しができる。
VisaやJCBのブランドのデビットカードがある。年会費や特典の種類などは、カードを発行している金融機関によって異なる。
たとえばVisaデビットを発行しているのは、あおぞら銀行、イオン銀行、近畿大阪銀行、埼玉りそな銀行、ジャパンネット銀行、スルガ銀行、三菱東京UFJ銀行、楽天銀行、りそな銀行で、今後、発行を予定している金融機関も複数ある。
桜子:現金を持たないで気軽に買い物できるということでは、最近よく、Suicaやnanacoで買い物してしまうんですよね。
絢香:プリペイドカード(※)ね。これも便利よね。(※ここでは、プリペイド型電子マネーを含む)
使える場所も、コンビニや駅中、スーパーでの買い物、レストレランなど、すごく増えてきているし、買い物のたびにポイントもつくしね。私もよく使うわよ。
プリペイドカード(プリペイド式電子マネーを含む)
あらかじめチャージした金額内で支払いをする。テレホンカード、図書カード、QUOカードなど、購入した金額を使い切ったら終わりのカードと、チャージして繰り返し使えるカードがある。Suica、PASMO、Edy、nanaco、WAON、Tマネーなどがそれにあたる。
潤:プリペイドカードも、基本的には100~200円で1ポイント(1円)貯まるんですよね。
貯まったポイントは、1ポイント1円として使用できたり、提携先で違ったポイントに変換して使ったりできるし、1枚のカードで集中して利用するといいですよね。
桜子:最近、種類もいろいろ増えてきましたよね。
絢香:Visaとかマスターとかの国際ブランドのカードのプリペイドカードもあるのよ。
潤:え、そんなのがあるんですか。やっぱり、クレジットカードのように使えるってことですか?
絢香:そうなの。あらかじめ一定の金額をチャージしておくの。だから、使いすぎることはないというわけ。デビットカードに似てる気もするけど、こちらは“先払い”なの。「銀行口座から引き落とし」ということがないから、即時発行もしてもらえるの。旅行の時なんかに、急に思い立ってもカードが手に入るわね。
潤:へえー。便利ですね。!
絢香: 分割払いや現金の引き落としはできないけどね。
クレジットカードと同じように使えるから、ネットショッピングもOKよ。
桜子:それはいいですね! ネットだと、クレジット情報を入力するのをためらってしまうこともあったけど、これなら安心。…といっても、買い物しすぎちゃいけないけど。あ、上限が決まってるから、そこも大丈夫ですね。
絢香:一人で完結してるわね(笑)。
ひとつ、プリペイドカードで気を付けたい点というと、「オートチャージ」にした場合ね。チャージ金額が一定の金額以下になったら、クレジットカードで自動的にチャージされるから、意識しないうちに使いすぎてしまう可能性はあるわね。
潤:そうなんですよね。あと、何枚も持ってると、どれをどのくらい使ったかとか、把握できなくなっちゃうんですよね。
絢香: そうね。クレジットカードの話のときにも言ったけど、電子マネーも日常生活での自分が利用するシーンを振り返って電子マネーの枚数を絞りましょう。電子マネーの枚数が増えると、どこにどれだけのお金が入っているのかがわからなくなり、結局チャージされたまま放置…ということにもなりかねないわ。
桜子:あー、それ、わかるなー。私やってそう…。
絢香:ちなみに、電子マネーには「ポストペイ式」といって、利用料金を後払いするタイプのものもあるの。QUICPay、iDなどがあるわね。カードもあるし、おサイフケータイになっているものも多いわね。iDはドコモのおサイフケータイよ。電子マネーだから、クレジットカードのように買い物した時にカードを渡す必要がなく、かざすだけでOK。使い勝手は、プリペイドカードと同じ感じよね。
桜子:うわー! カードって、いろいろな種類があるんですね~。うまく使うと、使いすぎが防げて、お金の管理も上手になりそう!

ポイントカードとの上手な付き合い方は?
桜子:ところで、カードといえば、よくお店でもらうポイントカードはどうでしょう。行くお店、行くお店でポイントカードを作っちゃってすごい枚数になってしまったんですよね…。つい、ポイントという言葉につられちゃいますね(笑)。
潤:ポイントカードを作ったはいいけど、結局ポイントは貯めれらずに中途半端で終わってしまうってことよくあるよね。
絢香: そうね。ポイントカードを厳選してつくるのであれば、業態をまたいだ複数のショップやサービスのポイントを貯められるものにした方がいいわよ。
桜子:TポイントとかGポインとですね!
絢香:そうそう! グルメ、ショッピング、旅行などの様々なシーンでポイントが貯められるので、ポイントが貯まるスピードも早くなるわよ。
潤:ポイントが貯まるのはうれしいんですが、ポイント発行企業からすれば、僕たち消費者にポイントを付与すると、まだ未使用のポイントは「負債」になるじゃないですか。なぜ企業はポイントを発行するんですかね?
絢香: それはね、ポイントを発行することでそれ以上のマーケティング効果が見込めるからなの。
「Tポイントが貯まるから、ローソンではなくファミリーマートで買おう」「ポイントがあと1個貯まるとドリンクが1杯無料になるから、ちょっと寄っていこうかな」ってことよくあるでしょ? これは企業側の思惑にまんまとはまっているのよ(笑)。
桜子:なるほどー! 私、まさにこれです!
絢香: ポイントは便利でおトクだけど、ポイントがつくからとすぐに飛びつかず、上手に活用することが大切ね。
Tポイント
カルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するポイント交換サービス。TSUTAYAをはじめ、Tポイント提携店が展開する全国約30万店舗で、貯めたり使ったりできる。
Gポイント
ジー・ブラン社が提供する国内の大手企業を中心に流通系のポイントや主要電子マネー、航空マイルなど約140社と提携したポイント交換サービス。
◎Kazue先生の今回のポイント◎

プロフィール

ファイナンシャルプランナー
高山一恵さん
エフピーウーマン所属ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。2002年にファイナンシャルプランナーの資格を取得したのを機にお金との正しい付き合い方を啓蒙する魅力に目覚める。2005年4月に創業メンバーとして「女性のためのお金の総合クリニック」株式会社エフピーウーマンの設立に参画。現在、同社のメイン講師として全国で講演活動を行い、人生に不可欠なお金の知識を伝えている。雑誌や新聞での連載をはじめ、テレビ・ラジオにも出演するなど精力的に活動し、明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書に『35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん』(アスペクト)など。エフピーウーマンHP、オフィシャルブログ「お金を人生の味方につけるお金の教養レッスン」、「お金の教養が身につく マネーセミナー」(受講料無料)。
『この記事は、日経ウーマンオンライン(http://wol.nikkeibp.co.jp/)に 2015年8月6日に掲載されたものです。無断複製・転載を禁じます。(C)日経BP社』