専門性を高めたい人を応援する新給付金
今年10月改正!キャリアアップを支援する「教育訓練給付金」が拡充
2014年9月23日
こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。スキルアップを図るために勉強をしようかな…? と思っている方に、耳よりの情報です。2014年10月から、「教育訓練給付金」が拡充されることになりました。今回は、その内容についてお届けします。
2本立てになった教育訓練給付金
教育訓練給付制度」とは、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)または一般被保険者だった退職者が、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を自己負担で受講したときに、教育訓練にかかった経費(入学料や受講料など)の一部について、ハローワークから給付金の支給を受けられるという制度です。
この従来からある制度(一般教育訓練の教育訓練給付金)に加えて、2014年10月1日より「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」が追加され、2本立てとなりました。
厚生労働大臣の指定を受けた専門的・実践的な教育訓練を受講する際に、教育訓練経費の40%(年間上限32万円)にあたる給付を最大で3年間受けられます。
この専門実践教育訓練には、どのようなコースがあるかというと・・・介護福祉士、看護師、歯科技工士、保育士、柔道整復師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、建築士、美容師、調理師、栄養士、その他様々の専門的な資格を取得するための講座が多数設けられています。
指定講座の一覧は、厚生労働省のホームページで公表されていますので、ぜひチェックしてみてください。今まで気になっていた資格や、勉強したいと思っていた講座と出合えるかもしれません。
対象となる講座の一覧を覗いてみると、早稲田大学大学院のMBAプログラム等も含まれており、専門性を高めてさらなるキャリアアップを図りたい人にとって、有益な選択肢の一つとなるのではないでしょうか。
会社勤めをしながら通信や夜間にという方も、退職後に資格取得を目指して勉強に励みたいという方も、いずれも一定要件を満たしている方であれば利用できる制度です。
この「専門実践教育訓練給付金」では、訓練の受講修了から目標としている資格取得などをし、修了日翌日から1年以内に正社員など雇用保険の一般被保険者として雇用された場合には、教育訓練経費の60%にあたる額(すでに支給された40%の給付金との差額)が追加して給付されます。
さらに、「専門実践教育訓練給付金」の受給資格を持つ方のうち、受講開始時に45歳未満であることや専門実践教育訓練を修了する見込みがあることなど、一定の要件を満たす方は、訓練期間中に「教育訓練支援給付金」を受けることができます。この教育訓練支援給付金の日額は、原則として雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の日額の50%に相当します。
訓練期間は、講座内容にもよりますが、おおむね12ヵ月から36ヵ月と長期間におよぶものが多いので、これは大変なメリットと言えるでしょう。
「専門実践教育訓練給付金」の支給対象となるのは、次の1または2に該当する方になります。
- 雇用保険の一般被保険者
一般教育訓練の受講開始日に、10年以上(※)の支給要件期間(同一の事業主に一般被保険者または短期雇用特例被保険者として雇用された期間)がある方 - 雇用保険の一般被保険者であった方(退職者)
一般被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ、支給要件期間が10年以上(※)ある方
※ 1・2とも、当分の間、初めて専門実践教育訓練給付金の支給を受けようとする方については支給要件期間が2年以上であれば可能となります。
※ 平成26年10月1日以前に、教育訓練給付を受給した場合は、その受給にかかわる受講開始日から今回の受講開始日までに、通算して2年以上の被保険者期間が必要です。
また、受講開始日の前日から10年前までに教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、専門実践教育訓練給付金は支給されません(ただし、平成26年10月1日よりも前に教育訓練給付金の支給を受けた方に対しては、この取扱いは適用されません)。
これらの給付金を受けるには、実際に受講を開始する日の1ヵ月前までに手続きをする必要があります。なお、受講開始日前までに離職した方が、教育訓練支援給付金の支給を受けようとする場合は、離職後1カ月以内に教育訓練支援給付金の受給資格確認の申請を行うことが必要です。
申請に先立って、まず受講開始(予定)日現在において、あなた自身に受給資格があるかどうか、受講する訓練講座が厚生労働大臣の指定を受けているかどうかなど、あらかじめハローワークで支給要件を確認しておくと安心です。
この確認をするには、ハローワークや教育訓練施設で配布している「教育訓練給付金支給要件照会票」に必要事項を記入して、運転免許証など本人確認できる書類とともに、ハローワークに提出(来所または郵送)する方法があります。
今後も新たにコースが増えていきますので、気になる方は継続して講座内容をチェックしてみてはいかがでしょうか。