来年1月スタート! これだけは知っておきたい、マイナンバー制度
12桁の個人番号がわかる時期、情報保護対策など概要をチェック
2015年4月6日
こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。「マイナンバー制度」という言葉、最近よくニュース等で見かけませんか? 「知っているようで、よくわからない」という方も多いはず。そこで、今回はマイナンバー制度の概要についてみていきましょう。
マイナンバー制度とは?
2016年1月から運用がスタートする「マイナンバー制度」。これは通称で、正式には「社会保障・税番号制度」といいます。
マイナンバーは、住民票を有するすべての人に、1人ひとつずつ12桁の個人番号が振り出され、社会保障や税、災害対策の分野で効率的に情報を管理するために活用されます。
この個人番号は、不正に使われるおそれがある場合を除き、原則として一生変わりません。
また、外国籍の方で中長期在留または特別永住している方々についても、マイナンバーの対象となります。企業の規模も関係ありません。
たとえば、年末調整の際に会社から発行してもらう「給与所得の源泉徴収票」などの税関係書類や、入社・退職の際に必要となる社会保険手続きなど、みなさんにとっては普段あまり見かけることの少ない行政手続きで重要な役割を担うことになります。
私のマイナンバー、いつわかる?
2015年10月より、個人番号と生年月日、性別、氏名、住所の4項目が記載された「通知カード」が赤ちゃんからお年寄りまですべての方に届くことになっています。
原則として住民票に登録されている住所宛てに送付されることになりますので、実際に住んでいる場所が違う方はご注意を。
通知カードは、公的な番号を証明する書類ではあるものの、この時点では紙製(予定)のカードなので、身分証明書にはなりません。しかし、とても大切なものなので、くれぐれも紛失しないように注意しましょう。
そして、2016年1月より「個人番号カード」の交付が始まります。通知カードとともに送付される申請書を郵送するなどして申請し、個人番号カードの交付を受けるときは市区町村窓口へ来庁のうえ、通知カードを返納します。
この個人番号カードは、個人番号を証明する公的な資料であると同時に、顔写真付きの身分証明書としても有効なICカードです。
本人確認の身分証明書以外にも、お住まいの自治体の図書館が利用できたり、印鑑登録証として利用できたりするなど、自治体が条例で定めるサービスに利用することができ、様々な機能を持ち合わせています。
ただし、このカードですべて管理されるわけではありません。カードに記録されるのは、券面に記載された氏名、住所、個人番号などのほか、電子証明書などに限られ、所得情報や病歴など、機微に触れるプライバシー性の高い個人情報は記録されません。
厳格な罰則もあり
マイナンバーの制度化に際しては、「個人情報が漏えいするのでは?」「プライバシーが侵害されるのでは?」「国で情報を一元管理されるのでは?」など、様々な懸念の声が上がりました。
ソーシャルメディアにおいても、「なりすまし」が問題となっていますが、マイナンバーが悪用されたら、大変な事態となります。
そこで、国や行政機関、さらには企業に対しても安心・安全な利用を徹底し、違反があった場合には、罰則が科されることになりました。
たとえば、マイナンバーを含む特定個人情報ファイルを故意に漏洩した場合、4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその両方が科されるなど、従来の法令よりも厳しい罰則内容となっています。
個人番号に関しては、法律で定められた範囲を除き、目的外の取得や利用、保管は禁じられており、個人番号の取り扱いと管理については、扱う側も細心の注意が求められています。
また、システム面の保護措置としては、個人情報を一元管理するのではなく、従来通りに年金情報は年金事務所、税情報は税務署というように分散して管理されることになっています。
まずは「通知カード」の受け取りを
マイナンバーは、社会保障、税、災害分野の手続きのために、国・地方公共団体をはじめ、勤務先、金融機関、年金・医療保険者などに、情報を提供する必要があります。
そのため、今後は正社員や派遣社員、アルバイトなど雇用形態を問わず、働くすべての人は、会社からマイナンバーの情報提供を求められることでしょう。
マイナンバー制度は、決して他人事ではなく、私たちが当事者となる身近な制度なのです。
まずは、今年10月以降に送付されてくる「通知カード」をきちんと受け取ってください。それを自分自身でしっかりと管理していくことが大切です。むやみに他人へ提供することはできませんので、取り扱いにはくれぐれもご注意ください。
◆変更履歴:1ページの本文を一部修正しました。(2015年6月2日)