みんなの金融リテラシー

「キャッシュレス社会を考える」 実践授業

高校1年生向けに行われた、「キャッシュレス社会を考える」の授業の様子を紹介します。

病気・入院

不測の事態は突然やってくる。若さと健康も、いつまでも続くわけではない。病気やけがで入院という事態も当然に人生オプションとして想定しなければならない。もし入院することになったら、どのくらいの経済的な備えが必要なのだろうか。万が一、障害を負うようなことになり働けなくなったら、その先の生活はどうなるだろう。

私的保険(医療保険)と公的保険(健康保険)の違いを把握し、その区別と効用について理解しよう。その上で、自分が働けない時間をどれくらい貯金や保険などで賄えるかという計算を行うことで、自分が生活を営む上で最低限必要なキャッシュフローを理解しておくと、いざというときに役立つ。

厚生労働省や全国健康保険協会のホームページを参照するとよい。

公的医療保険
公的な社会保険制度の一つである医療保険には、健康保険(会社員とその扶養家族)、国民健康保険(自営業者とその家族)、共済(公務員や教職員等)の3種類があり、それに加えて75歳以上が加入する後期高齢者医療制度があり、全国民がいずれかに加入している。公的な医療保険では、医療費の負担が3割(75歳以上の後期高齢者医療制度は1割)になる他、医療費が高額になった場合に負担を軽減する「高額療養費制度」、休んだ期間の生活を保障する「傷病手当金」、出産手当金の給付などがある。

民間の医療保険
民間の生命保険会社、損害保険会社、共済が販売している。公的医療保険では足りない病気やケガの保障分について、民間の医療保険で準備をする。女性特有の病気に対する医療保険もある。民間の保険には、医療保険の他に、加入者が死亡や高度障害になった時に保険金を受け取れる生命保険(共済)もあり、ライフプランに応じて加入を検討することが重要である。

高額療養費
医療機関や薬局の窓口で支払った額が暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、申請によりその超えた金額を支給する制度(ただし、入院時の食事負担や差額ベッド代は含まない)。

傷病手当金
業務外のケガや病気により休業した時、連続して3日間(有給休暇、土日の休業も含む)休んだ後の4日目から手当金が支給される。ただし、会社が傷病手当金の額より多い報酬額を支給した場合は対象ではない。支給金額は標準報酬日額の3分の2で、最長は1年6カ月間。ただし、自営業など国民健康保険に加入している人は支給されない。

障害年金
病気やケガなどによって障害が生じた時、公的年金の加入者は障害年金が支給される。公的年金制度には国民年金、厚生年金、共済年金の3種類があるが、学生のうちは国民年金である。国民年金を納付するか、学生納付特例制度を使って納付を猶予することで、万が一障害を負って働けない場合も障害年金が支給される。

病気休暇
業務によらない病気やけがにより就業が困難な場合、取得する休暇。就業規則により定められる。

労災保険制度
業務上の災害や通勤災害により労働者が負傷や病気、あるいは死亡した場合に、労働者の医療費等を補償する制度。労働者災害補償保険法による。